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《出演者による独り言という名のプロローグ》

6人目:竹田綱吉の午後


ガコン

1階アトリウム脇の自販機前。
取り出し口からミネラルウォーターを取り出しキャップを開けて口につける。
水に金を出すのはバカらしい気もするけど、1番安いのもまた水なのだから仕方がない。ぐっと一飲みしてキャップを閉じた。

携帯を取り出して時間を確認すると、12時41分。
昼休み終了まであと20分弱ってとこか。
さて……、どこへ行って時間をつぶそうか……。

やっぱり休み時間は一人で静かなところに限る。
格技場にでもいって座禅でも組むかな。
 
歩きながら携帯をポケットにしまおうとしたその時、ヴヴヴと自ら震えだした。

あー……、だから嫌いなんだよな、携帯って。
人の都合も考えずに、ところかまわず一方的に存在を主張してくる。
ちらりと視線を落としてみると、着信ではなくメールだった。
嫌な予感。
無視してもいいのだけど、もし家から大事な用事だったら……などと考えてしまって結局いつも無視できない。
はあぁ……。
アイツからじゃないといいけど。
 
俺は重い気持ちで携帯を開いた。


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