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《出演者による独り言という名のプロローグ》

5人目:羽柴明人の努力



「なあ、俺のことどう思う?」

至極真面目に聞いたのに、得体の知れないものでも見るかのような顔をされた。

「悪いけど、俺にはそういう趣味はない。仮にあったとしてもお前は選ばない」
「違うってー。俺が先輩のこと好きなの知ってるだろ!俺のセールスポイントってどこだと思う?って話!」
「は?セールスポイント?しらねえよ。てか、なんで俺に聞くんだよ。誰か女に聞けよ」
「もう聞いたけど、ろくな答え返ってこねえんだもん。ナンの参考にもならねー」
「ああ……あいつか」
「そう!”愚直なまでな忠誠心じゃない?”とか言うんだけど!これどういう意味?」
「”素直で一生懸命なとこ”って好意的に受け止めとけよ」
「……え?あれってそういう意味だったの?」
「さあな」

そう言って、俺の幼なじみ殿は雑誌に視線を戻してしまう。



はあ……、麗しの先輩……。
先輩より綺麗な人も可愛い人も、世の中にはいっぱいいるのに、俺の目には先輩しか映らない。
俺のことを”女好き”などと言うヤツがいるが、それはちょっと待ってくれといいたい。
たしかに、惚れやすいのは認める。
でも、「惚れやすい=浮気っぽい」ではないとこは声を大にして主張する。
俺の場合は、熱しやすくて冷めにくいのだ。
今まで好きになった人のことは、どれも一途に精一杯好きだった。
もし、付き合えれば、5年でも10年でも好きで居続ける自信がある。

ただ、今まで両想いになったことがないってだけの話で……。

だから今度こそ!今度こそなんとしても両想い!
そのためだったら、どんな苦労も、努力もいとわない!
その覚悟はとっくにできている!

ああ、なのに。
今までの経験から、俺の努力はおそらく何か間違っているんだろう。
でも、じゃあどうすればいいのか、俺の頭ではさっぱり思い浮かばない。
 
 
 

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