バレンタイン小話:おまけ


14日

「どうですか?」
「……ちょ、ちょっと……甘い、かな?」
「やっぱり……」
「やっぱり……?」
「いえ、途中で兄が”甘さが足りない”と言って砂糖を加えたんです」
「……どれくらい?」
「一袋」
「……それは……甘すぎると思うよ、さすがに」
「そうですよね……そう思ったんですけど、甘党の兄が力説するからつい……
兄は美味しいと言ったのですが、今度から兄の味覚は信じないことにします。
持って帰りますね」
「待って!お兄さん、食べたの?」
「え?はい。作ってる途中と、あと余った分を」
「……食べたんだ」
「はい」
「俺も食べる!」
「え、でも甘すぎるって……」
「いや、チョコレートだと思うから甘いんであって、砂糖だと思えば食べられる!
一度には無理だけど、何ヶ月かかっても全部食べるから!」
「そうですか?……あの、無理しなくても」
「大丈夫!」
「分かりました」
「うん」
「あの……ありがとうございます」