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本編より12年ほど前の設定です
ひな祭り小話:3月4日
「――さん……」 「なんだ?」 「どうして片付けていくそばから人形をもとに戻しちゃうんですか? これじゃいつまでたっても片づかないじゃないですか! ひな人形は早く片付けないとお嫁に行けなくなっちゃうんですよ」 「ふん。そんな迷信くだらない!科学的根拠など何もないだろう」 「……そうですね」 「ああ、そうだ」 「でも、片付けないと邪魔なので片付けます」 「待て!」 「なんですか?迷信じゃなくちゃんと実務的な理由ですよ、文句ありますか?」 「なんでそんなに急いで片づけようとするんだ!」 「だから邪魔だからだと言ってるでしょう?あなたこそどうしてそんなに片づけさせたくないんですか!?」 「……綺麗だろう」 「じゃあ、綺麗な花でも買ってきて飾っておきます」 「いや、人形でなければダメだ!」 「じゃあ明日にでもデパートで綺麗な人形を買ってきます」 「わざわざ買わなくてもひな人形でいいだろう!」 「もう!そんなに永遠子ちゃんをお嫁に行かせたくないんですか!?」 「俺はそんな迷信は信じてないと言ってるだろう!」 「だったら片づけたっていいでしょう!」 「いや、永遠子だってもう少し飾っておきたいだろ、な、永遠子?」 「はい」 「ほら、永遠子もそう言ってる」 「こんなところにひな壇があったら邪魔よね?永遠子ちゃん」 「はい」 「……」 「……」 「ずるいぞ、永遠子を味方に引き込もうだなんて」 「先に永遠子ちゃんを引っ張り込んだのは誰ですか? もう邪魔するだけならどこかへ行って下さい。 永くーん、久くーん、お父さんにお風呂入れてもらいなさーい」 「あいつらはもう8歳だぞ。俺が入れてやらなくても自分たちで風呂くらい入れる」 「そうですか、分かりました。 永遠子ちゃん、永くんと久くんに一緒にお風呂に入ろうって言ってきなさい」 「はい」 「うわっ、まて永遠子! バカか、お前は!あいつらに任せたら永遠子は溺れ死にさせられるぞ!」 「心配なら一緒に入ってあげればいいじゃないですか」 「……俺が風呂に入ってる間にひな人形を片付ける気だろう?」 「そうですよ。さっきから言ってるじゃないですか、邪魔なんですよ。ほら、どうするんですか? ここで意地を張って私の邪魔をしますか?それとも永くんと久くんが永遠子ちゃんを殺さないように見張りますか?」 「くそっ!今夜は覚えておけよ!」 「はい、覚悟しております」 おそらく、このやりとりは毎年恒例になっているかと(笑) |